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歌麿

NHK大河ドラマ『べらぼう』に歌麿が登場し、いよいよ蔦屋重三郎の活躍が本格化する。蔦重や歌麿のほか、狂歌の太田南畝、葛飾北斎、そして写楽はどのように描かれるのか、また、田沼意次から松平定信へつながる幕府とのやり取りも楽しみにしたい。

 

歌麿は栃木の街と縁がある。晩年が近づくころに栃木に滞在というか住んでいた時があったらしい。

歌麿の超大作の肉筆画、『品川の月』『吉原の花』『深川の雪』は栃木に滞在している際に、彼のスポンサーでもあった豪商善野家(釜伊)の依頼で描かれた。

この3幅対は明治12年に定願寺(栃木図書館の近く)で展示されたが、その後行方は全く別な経緯をたどり現在は異なる美術館にて所蔵されている。

このいわゆる「雪月花」の高密度複製画を栃木市美術館で所蔵している。本物ではない寂しさはあるものの見る価値は十分にあると思う。

 

さて、喜多川歌麿である。

歌麿の出生については詳しくはわかってないそうだ。そのため、大河ドラマでは夜鷹の母親から迫害されて育った壮絶な生い立ちであったと描かれた。

歌麿の絵からは女性を憎む感情は一つも伝わってこない。女性への優しさしか感じない。なので、大河ドラマの生い立ちはだいぶ違っていると思う。

むしろ、母親は優しい人だったのではないか?歌麿の絵から感じる教養もなかなかである、それは父親がはっきりしないことを踏まえると、母親から教えられたものと考えるのが分り易いのではないか。

歌麿と江戸、歌麿と栃木、歌麿と京都、豪商善野家との関係から歌麿と守山(善野家は守山出身の近江商人)など興味は尽きない。